徳谷柿次郎のクラフトインターネット日記

30代後半から始めた「年3回スノボ」の経験総決算

ハッキリ言っておこう。スノーボードは体育レベルで誰でも気軽にやれるスポーツではない。足を固定したボードで、雪山の斜面を高速で滑り降りる……。人との接触事故はもちろん、転け方次第で怪我のリスクも当然ある。実際、周囲でも骨折の話は珍しくない。

こんなにも危ないスポーツなのに、なぜ人はスノボに魅入られるのか? スノボのためになぜ長野県の山奥に移住するのか? 私のスノボデビューは30歳頃でとても遅い。まだ東京に住んでいた。楽しかったかどうかもわからないが、初歩の「木の葉」でワーワー言ってた気がする。

その後、3年に一度ぐらいのペースで誰かに誘われて行ってるものの、楽しさよりも辛さの方が余裕で勝っていた。気づけば長野と二拠点生活を始めて、4年ぐらい前から長野拠点に絞った。すると「ウインタースポーツをやらなければもったいない」という雰囲気が押し寄せてくる。

圧をかけられたような体験はないものの、「どうせならスノボやった方が良くない?」「冬の間は車移動ばかりになるから運動を兼ねてみんなやってるのでは?」「あえておじさんになってからスノボに向き合えば、己に変化が生まれるんじゃないか?」と次第に思考実験的な捉え方に変化してきた。できないことに向き合う姿勢は、将来の貯金になりそうな気がしたのかもしれない。

38歳で決意を新たにすべく、スポーツデポでBURTONの板とブーツ、ウェア一式を購入。たぶん15万円ぐらいしたと思う。加齢をカバーするために大枚をはたく。これは何をやらしても運動神経が普通すぎて、なにも極められない男の持論である。それっぽくできるが、周りに褒められて有頂天になれる経験がほんとに少ない。だが、それでもなんでもやるのがおれのいいところ!

しかし、毎年3回ほどしか滑ることができなかった。スキー場が近いにも関わらず、気づけば春になっている。最大の理由、それは1〜3月の年度末は広告仕事が忙しくなってしまうこと。FUCK年度末。特に2月と3月は記事広告案件も急に降ってくるし、予算消化のイベント登壇(出張!)が土日を覆い尽くす。平日は疲れを回復しつつ、予定がどんどん埋まっていくのである。年明けは体調崩しやすいし、3月から花粉症も始まるし、なんなんだよもうっ!!!!

補足的な理由として、朝起きれない問題も大きい。仕事忙しい→出張が増える→イベントが多い→お酒飲む頻度が増える→朝起きれない→スノボ行けない。このループですべての運動習慣が途絶えてしまう。下北沢で酒を浴び続けるリリー・フランキーか古田新太みたいな生活習慣を大自然の山奥に住みながら実装しているのは、とても稀有だと思う。

それでも、だ。諦めずに滑りたいと願っている。去年なんて人生初の1on1スノボスクールを受けたし、友人の小林くんはめちゃ丁寧に教えてくれるので、上達の道筋はある。聞けばシーズン1〜3回目は足慣らし。固いブーツと自分の足を慣らすことで、エッジへの対応が効くそうだ。

言われてみれば毎回足が痛くなって、踏ん張れなくなって転けて疲弊するのが定番だった。足が柔いのかもしれない。いや、柔いのだろう。裸足を鍛えることも必要だと悟る。身体がついてこないとチャレンジ回数が減るのである。魂の灯火的にスノボを見立てないと、あっという間に憔悴しきって「嗚呼、故郷に帰りたい…」と白銀の嘆きが溢れてしまう。

2024年のデビューは2月12日。新潟県・妙高の「池ノ平アルペンブリックスキー場」に初めて向かった。三連休最終日で賑わいも落ち着きを見せて、自慢の日本有数のウルトラワイド一枚バーンに惹かれて滑ってみたら、これがまぁ初心者にうってつけの環境だった。連続ターンの動作確認に適しているし、急斜面や雪溜まりが少なくて、魂がすり減るミスポイントが少ないように感じられた。

ここでスノボの上達ポイントを整理したい。検索しても出てこない41歳おじさん視点の達成感と言い換えてもいい。

①リフトで降りるときに転けない

②前に人がいてもブレーキングで対応できる

③滑り終わったあとのリフト前で転けない

この3つがめちゃ重要だと思う。まず何よりも転けない。リフトタイミングで転けると格闘ゲームみたいな体力メーター(黄)が減る。人とぶつかりそうになって、かばうような形で身体がバラバラになるぐらいの転け方をすると体力メーター(赤)が激減する。

パウダーのエリアでハマってもめちゃつらいし、逆エッジでぶっ倒れたら気絶しそうになるし、捻挫や骨が折れたらそこで試合終了。減点方式で魂を削り取られるのがスノボなので転けないのが重要なんだよなぁ……。

足の形とブーツの相性もあるんだろうけど、自分の場合はとにかく足の痛み、圧迫感が高まると転けるリスクが上がる。一方でブーツをしっかりフィッティングして窮屈にしないと、板に重心がかからないし、ブレーキも甘くなってしまう。マジの板挟みよ。むずかしい。

解決方法として考えられるのは、シーズンスタートを早めに設定し、冬序盤で一気に3回分の経験値を貯める方法がひとつ。足とブーツを馴染ませつつ、ターンの動きを反復し、身体的負担に適応させるのが自分に合ってるはずだ。あとは適切なやり方を教えてもらって、変なクセがつかないようにすること。ひとつひとつのステップに対してフィードバックをもらって、しっかり褒めてもらうのが一番大事!

今年は暖冬でどこまで機会が増えるかわからないけれど、気合で10回滑ったら修行モードから楽しめる精神状態になる気がしている。

よし、がんばるぞ〜〜〜と思った矢先に、天気予報を見たら春過ぎる晴れマークが一週間以上埋め尽くしていた。妙高で日中15度て。どうなっとん。

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