徳谷柿次郎のクラフトインターネット日記

BOOK TURN SENDAIは令和No.1の体験だった

仙台の駅前で開催されたブックイベント『BOOK TURN SENDAI』は、約3800人のお客さんが集まってくれて文フリにも負けないような熱狂に包まれた。いや、本当にすごい光景だった。

主催の藤本智士さんが前日まで「本当に人が来るのか不安」と漏らしていたが、イベント一発目で仙台開催の絶妙さがどっちに転ぶかわからなかったのも事実。あくまでディレクター的に少しお手伝いしていただけだったが、おれの発信がどうこうよりも、地元のテレビ局で取り上げられたり、SNSではない世界線の地道な営業があったりしたんじゃないかと想像している。

風旅出版のブースも大盛況。なぜならこの日のために仕込んだ新作2冊『編集の編集の編集!!!!』『いきなり知らない土地に新築を建てたい』があったからだ。意外にも新作目当てで訪れてくれる人が多くてとても嬉しかったし、心強かった。日々の発信は届いているんだな、と。

いつからかSNSのシェアに対して、砂漠に砂をぶん投げるような行為だなと皮肉めいた感覚を持っていたけれど、一度も諦めることなくXもインスタもFacebookもThreadsも使い分けて変わらず投稿している。やっぱりコツコツ積み上げる気合しか勝たん。どうせ届かないと思ってなにもしない人間の眉間に”諦めたらそこで試合終了だよ”のタトゥーを彫ってやりたいな。

・編集の編集の編集!!!! 55冊
・日記本 41冊
・都市と路上の再編集 17冊
・信濃町本 2冊
・黒磯本 1冊
・おま俺 6冊
合計販売冊数:122冊
合計販売額:¥225,500-

ここだけの数字にしておきたいが、こんなにも売れてしまった。売上が22万円。全部クラフトプレスなので利益率がとても高い。スタッフ3人引き連れて交通費と宿代はかかっているものの、これだけ売れたらハイパー御の字スタイルだ。なによりも本を一緒に売って、あの場の熱狂を経験することはとても大事だなと思っている。

新卒の加瀬くんは発送管理責任者として日々、おれが衝動で作り上げた本の在庫を管理し、EC対応をして、ここ8カ月で3000冊ぐらい発送しているはずだ。どんどん管理がうまくなってきていて、ミスも減ってきている。編集者として大きな自信を持つのは正直3年ぐらいかかってしまうが、本の発送管理と現場での販売は小さな自信になりやすい。この小ささが肝。人を育てる過程で超重要だと10期目にして確信をもっている。なぜなら非効率で手触りしかないからだ。

さらに前乗りの飲み会は、全国から久しぶりの友人含めて20人近くが集まってとにかく盛り上がった。17時から仙台に住んでいる岡さんと飲んで仕事の話もしてたんだけど、ぞろぞろと合流して居酒屋の縦テーブルがパンパンに仕上がっていった。

はじめまして同士も共通項がしっかりあるから盛り上がるし、なによりもこの日のために作った本を持ち寄って、その場でページをめくりながら飲む感覚がエモすぎて泣きそうだった。なんだろう、あれ。クリエイティブの純度が高すぎて、そこに損得勘定が一切発生してなかったんだよなぁ。

そのまま深夜2時まで宴は続いた。合計9時間も飲んでいたことになる。寝て起きたらボロボロだった。本番前にエネルギーを使い果たす。そのやばさを見越して大浴場つきのホテルをおさえていたのに、ローカルホテルあるあるの深夜0時まで営業……。バスタブに熱々の湯を注いで、半身浴で身体の熱だけ高めて、やってこゾンビとして浅い眠りについた。ドーミーインにしておけばよかった。

本番の夜も最高の打ち上げが続いた。三浦さんのセリ鍋につられて全国から集まったんだけど、藤本さんが100人分のセリ鍋を会場で食べられるように手配してくれていて、さらに超絶うまい宮城県のワイン「アルフィオーレ」さんもスタンバイしていた。なんという食と酒の狂宴!「三浦農園のセリ鍋 feat.アルフィオーレ」なんて、仙台のラッパーが歌ったらYoutube動画100万回再生するやつやん!

やはり遠方のイベントは前後の飲み会がすべてだなと思った。打ち上げで生まれる奇跡をいつまでも信じて生きていたい。ただ本を売っておしまいなんてつまらない。

街に繰り出して、思い思いの再会と新たな出会いを祝して、乾杯の乾杯の乾杯!!!!を来年もしていこうと強く誓ったのである。こんなにも「である」がハマることも珍しいな。マジで令和No.1の時間だったと思う。藤本さん、そして裏方として準備してくれたみなさんありがとうございました。また仙台で飲みましょう。仙台のことが大好きになった。

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