ここ2〜3週間で結構な移動があった。函館3泊、東京1泊、そして韓国ソウル3泊4日。最近、長野にこもってる感覚がいまだ優位なんだけど、この事実を書き連ねたら「自分バグってるな」と冷静になった。しかも、函館とソウルは赤子連れの家族旅行で、ひとりで気軽に旅をする感覚ではない未体験ゾーンに突入したのだった。
もうすぐ6ヶ月の月齢なんだけど、まだ小さいうちに飛行機体験をしてもらって互いに旅慣れしたい気持ちがあった。あとはなんとかなるだろうの勢いと気合。LAMPのマメ夫妻の旅にくっついていった背景もあって、「友人がいればなんとかなるだろう」の気持ちもあったし、みんな韓国に詳しいテンションだったので、珍しく主体性を空に放り投げて、なにも調べずにとりあえず行くぞ!の姿勢だったことを記録しておく。
ルートは信濃町→長野市(犬預け)→成田前泊で車移動。長野市を挟んだこともあって15時ぐらいに家を出たものの、成田に着いたのは21過ぎぐらい。新幹線移動も考えたものの、行きはともかく、荷物が増えるであろう帰りは車の方が気楽なんじゃないか?というお導き。当日行動で12時過ぎの飛行機はかなりリスキーだったので、今回は赤子体験アンビリバボーの大変さも考えて前泊にして正解だった。
初めての韓国ソウルは久しぶりに知らない国に来た感があってとてもよかった。距離と時間でいえば国内旅行とあまり変わらないし、文化的にもそんなにビビらなくていいだろうと考えていた。実際、都市の利便性と面白さが詰まった滞在になって、想像よりも何十倍も楽しんだんじゃないかと思う。
めちゃめちゃざっくりいえば、福岡の空気感を韓国にアレンジして異文化の底上げがプラスされた感じ。まず食文化。サムギョプサル、サムゲタンなど、日本では再現できない風土の力強さを感じた。そもそも食材が違うし、解釈も違うのだろう。日本の韓国料理は日本風にアレンジされていると思うが、蓄積された「韓国の味」のイメージがある程度担保されているからこそ、現地の食事はどれも想像を超える。めちゃめちゃうまい。キムチが好きなので、現地の水分量の少ない白菜のキムチのど真ん中を味わうことができたのもよかった。
滞在は弘大のyeonnam-dongからyeonhui-dongあたりのAirbnbでグループ全員で3泊した。感覚的には表参道の裏路地。とにかく便利な場所で、徒歩圏内にレベルの高いお店があちこちあった。街歩きだけで満足度がすごい。都市に求める要素が全部ある。まだ日本人がそんなに来てないエリアだったらしく、本、服、アート、フード、ローカルの文脈が詰まっていた。メモとして訪ねてよかったお店をざっと並べておきたい。
・Horlisun
韓国らしいデザインのアパレル。1〜2万の価格帯で日本にない服やバッグ買える。トレラン文脈もある
・Butter & shelter
うますぎるバターサンド、日本で展開したら確実にヒットする。なんなんだ。
・トンジュヌンナムジャ
うますぎサムギョプサル人気店。キムチ食いまくり
・Baek nyeon Baekse Ginseng Chicken Soup
うますぎ参鶏湯、黒にんにくのやつやばい。初日夜に行けばブチ上がる
・YOUR MIND
ZINEと雑貨中心の本屋
・Pancho
サンド、サラダ、スープとレベル高すぎブランチ 合間に挟みたい
・Tailer coffee
スペシャリティコーヒーのイケとる店、グッズかっこいい
・Laa
店の空気と接客が抜群のイタリアン、日本じゃ食えないアレンジ
・Bear Bread
たまたま立ち寄ったらパンうますぎ。小麦がいいのか?北海道的な素材の良さにハード、ソフト、包む文化が混じってる
・サロガショッピング
成城石井的なスーパーが入っていて、現地の食材やお土産買うのにちょうどいい
・森の中の漢方ランド
朝6時半からやってるスーパー銭湯サウナ。タクシーでサクッと行けた。ローカルすぎる洞窟サウナは炭焼きの熱でやってたらしい。レベル高い。自由。
3泊のうちに晴れたのは1日だけだった。いわゆるPM2.5のミセモンジの影響で空がガスってる感じもあったが、気温は10度半ばぐらい。晴れた日は桜も咲いていて多幸感にあふれていて良かった。福岡含めた九州的な空の色に長野の冷えた空気が混じったような感じ。なんともいえない共通項を見出したいんだけれど、これぞ!という言葉はない。緯度経度と都市文化の発展が、その認識のズレを起こしてくれて「知らない国おもろい」になる。
女性陣はとにかく食う。とにかく買う。そのエネルギーあふれる動きについていって、やれる範囲でサポートしながら家族旅行としての満足度を高めていった。日本と違って韓国はベビー服が可愛くてバリエーションが豊富らしい。デパートで服を選んだあとに、ソウル市中心になるベビー服問屋に駆け込んで「かわいくて安い!」と叫びながら服をいくつか選んでいた。おれはベビーカーをマリオカート感覚で押しながら、「なんで日本のベビー服は選択肢が少ないのだろう。長野には西松屋しかないよなぁ」と考えていた。
赤子連れ初海外の発見としては、空港内のVIP待遇がある。チェックインは優先レーンですぐに対応してくれるし、イミグレーションの手続きも優先された。とにかく速い。当たり前にそうしてくれる。もしかしたら渡航先の混雑する空港や時間帯を想定したら、赤子がいることによってものすごい時間短縮できるのかもしれない。
10年前のバンコクのスワンナプーム国際空港は酷かったなぁ。乗り遅れそうなぐらい焦っていて、イミグレーションにいったら長蛇の列で1時間半待った記憶がある。そして乗り遅れた。当時の会社の社長は睡眠薬を飲まないと飛行機に乗れない体質で、乗り遅れたのに昏睡してまったく動けなくなり、そのまま社員一同パニックになったのもいい思い出だ。
あとカフェのレベルがとにかく高い。そして数が東京や京都よりも圧倒的に多い。外食文化、コーヒー文化の水準が高いのは、逆に外でお金を使う習慣なんだろうなと思う。世界観、内装、味に至るまで切磋琢磨したネクストステージに達していて、X(Twitter)でも韓国の若者が日本のカフェに行っても「一昔前で止まっている」と投稿していて、それもわからなくないなぁと。
どの基準をもってレベルの高さを決めればいいのかは難しいところだが、アート・デザイン表現としての基準値が高い店が同じエリアに集中しているのは間違いない。逆に日本は機能としてのカフェが多いし、デザイントーンのバリエーションが多くない気もする。京都や福岡は個性的なコーヒーショップが増えているとは思うが、刻一刻と変化していく流れの中で捉えきるのは難しいかもなぁ。そもそもソウルの建築設計と日本では法律や倫理が違う可能性もあるし。詳しい人に話を聞いてみたいぐらい気になる。
最後に今回の韓国滞在と昨年12月の台湾滞在を踏まえて、ここからアメリカやヨーロッパに目を向ける世界線もありつつ、アジアの変化をどう捉えていくのかはとても重要だと思った。地政学による国家の在り方をカルチャー面から捉えて、気軽な距離で行ける隣国を行き来する足腰の強さみたいなものが必要なのかもしれない。その観点でいえば、長野からはあまりにも遠い。暮らしと仕事の充足度はあれど、好奇心を燃やし続けるための何かに欠けてきているような……。
あるものはがしのないものねだり。隣の芝生はいつだってコバルトブルー。日本のローカルを追い求める軸足を太くするためには、もしかしたら韓国や台湾、ベトナム、タイ、インドネシアなどなど、アジアの動きの中からローカルの比較学問が見えてくる気がした。そのために福岡拠点でアジア旅行を気軽に楽しむ世界がとてもとても羨ましく思えたのだった。だって福岡空港までタクシーで20分、1万円代でフライトがあって、さらに熊本空港も国際化してるんだよ。信濃町⇔ソウルはドアトゥドアで片道12時間かかる。この格差はでかい。
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