徳谷柿次郎のクラフトインターネット日記

お店づくりに宿る現実世界の強度

日記

パカーンコーヒースタンドの試験営業を兼ねたプレオープン日を迎えた。前日の日記通りに疲れが溜まっているため、眠る前のメラトニンが効いて朝10時まで眠りこけた。強制的に脳を休ませるのも自分なりの生存本能。数年前はハードリカーと睡眠薬をぶちこんでいたメメントモリすぎる時期もあったが、いまはお酒を飲む機会も減って、自然の中でおだやかに調整しているのは偉大なる進歩といえる。

10人ぐらい来たら御の字かな?と思ったら友人知人はじめ、地元の重鎮たちも訪れてお祝いムードでコーヒーをすすってくれた。本当にありがたい。11時から16時までたったの5時間営業。約50杯のドリンクを提供し、訪れた人への感謝を伝えつつ、店舗として足りない部分の発見が山盛りてんこ盛りだった。例えば、店舗正面の駐車線がない。「どこだろ?」と思いながら店舗の目視に遅れる。看板と「P」の視点誘導を改善しなければならない。

子連れがたくさん来てくれたのはすごく嬉しくて、どういう塩梅のキッズスペースがいるかな?と考える機会にもなった。田舎町には気軽に集まれる場所、コミュニティの数が限られていて、すべてを網羅した対応は難しいものの、機能としての幅はできるだけもたせたいと考えている。これまで自分なりにこだわった抽象度の高いお店「シンカイ」はどう考えても人を選ぶ。カルチャー好きの若者たちが夜の溜まり場として機能してほしくて「スナック夜風」を作った。いかんせんディープスナックビルの奥なので人を選ぶ。まぁ、やることなすこと人を選ぶのが自分の性質なんだと思う。

今回はわかりやすい路面店で、地域住民にも来てほしいし、観光客の立ち寄りポイントにもなってほしいし、第二のニセコ化を目指す妙高リゾート開発のインバウンド需要も狙っている。機能美としてのクイックコーヒースタンドをコンセプトに掲げたのはそういう理由がある。いわゆるカフェ・喫茶店営業として滞在時間を伸ばすのではなく、サッとコーヒーを買って気が向けば少し座って飲んでいって会話を楽しんで、気持ちよく出勤したり、帰宅間際に立ち寄ったりしてほしいのが願いだ。

現状、数万人、数十万人、数百万人以上の人口規模の都市ではコーヒースタンドは成立している。しかし、飯綱町は人口一万人強。信濃町は7000人。近隣の長野市は37万人ぐらいだ。経済圏と人口規模、車社会の欲望は利便性とSNSで激しく変わり続けている。そこでパカーンコーヒーがどう立ち向かえるのか。正直、やってみないとわからん。誰がどう考えても難しいゲームだと自覚しているが、だれもせーへんからやったったらええねんマインドでしかない。ただ、何かしらの自信がある。いつか脳内テトリスがスパーーーーンとハマる気がしている。それも4段縦ブロックのレベルではない、12段縦ブロックがハマる予感がある。

絶対、気持ちいい。この正解の見えない世界に身体性を伴ったリアリティをぶちこむのが、最大の喜びといっていい。少なくともこの建物では10年勝負しなければならないと思っている。もちろん自分の力だけでは続けられないと思う。これまで積み上げた価値と仲間たち、今後長野を軸とした、おもろい田舎町で一緒にサバイブしたい未知なる人との出会いが肝要。謎のクラフトインターネット日記に辿り着いた人がいて、もし一緒になにかしたい気持ちがあればこっそり連絡ください。

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